投稿者「ひつじ」のアーカイブ

憲法で読むアメリカ史 <上・下>  阿川尚之

 

憲法で読むアメリカ史(上) (PHP新書)
阿川 尚之
PHP研究所
売り上げランキング: 107000


この人の著作は別のところでも取り上げたが、もともと弁護士だけあって、話が理路整然としていて、とても分かりやすい。本書は、アメリカ憲法の視点から、アメリカ発展の歴史をひも解いている。

タイトル通り、「憲法で読むアメリカ史」とも言えるが、「アメリカ憲法の歴史」といってもいい内容。新書ではあるが、学術的なクオリティの高さがあり、同時に、私のような素人でも楽しめる分りやすさを兼ね備えている。

本書を読むと、アメリカが本当に、「統合された(United)複数の国(States:州)」であることがよく分かる。連邦国家だから当たり前なのだが、それにしても州の権限が異様に強いと感じるのは私だけか。

とくに建国前後、中央政府(連邦政府)のリーダーたちは、好き勝手やろうとする州政府を相手に、アメリカという主権国家を一つにまとめるのに苦労したようだ。本書では、そのプロセスが丁寧に描かれている。

また、アメリカは今では自由の象徴のような国だが、奴隷制廃止のために大変な苦労をしたことがよく分かった。黒人を人間として見なさないという最低の次元から出発して、徐々に判例を積み上げ、憲法解釈に変更を加え、血と汗と涙、時間と労力をかけて、今のような世界で一番(たぶん)自由で平等な国が形成されたことには、少なからず心を動かされる。

憲法には万人が平等であることが当初から明記されていた。しかし同時に、全く矛盾する現実が横行し、憲法を起草し、擁護する立場の人も、その矛盾に目をつぶっていた。しかし時は流れ、今では黒人が大統領になっている。

オバマさんは今ではちょっと人気が無くなってしまったけれども、あの大統領選挙の日、大統領に就任した日の感動を忘れることはできない。本書を読んで、そんなことを思い出した。

 

[`evernote` not found]

人間関係のレッスン  向後善之

人間関係のレッスン (講談社現代新書)
向後 善之
講談社
売り上げランキング: 22851


仕事をしている人は、仕事自体の悩みよりも、人間関係の悩みの方が比重が大きいという場合が少なくないのではないかと思う。子どもでさえ、勉強自体よりも、人間関係の悩みに悩んでいるケースの方が多いのではないかと思う。ことほどさように、人間関係に関する期待や悩みは、私たちの日常生活の中で占める割合が多い。

本書は、主に職場における人間関係の問題を扱っている。職場の人間関係の悩みは、そこに抜き差しならない利害関係が絡んでいるだけに、ちょっとしたきっかけで深刻化しやすい。また、同じ問題でも、あまり気にしない人がいる一方で、すごく悩む人もいて、人によって感じ方が全然違う。

そんなこともあり、本書は自分の性格タイプ別に問題解決のアプローチを変えている。多くの類書は、こういう問題はこういう解決策というアプローチを取るが、本書は、こういう人が、こういう問題で悩んでいる場合、こういう解決策があるというふうに、タイプ別にアドバイスを変えている。こういうところが、非常に現実的で好感が持てる。

手軽な新書ではあるが、巻末に参考文献を載せている。悩む読者の側に立つ好著です。

 

[`evernote` not found]

聖書に隠された成功法則  松島修

聖書に隠された成功法則
松島 修
サンマーク出版
売り上げランキング: 6853


筆者はFX界の第一人者。自身も大変な「成功」者である。題名がちょっと怪しい感じがしたが、実際に読んでみたら凄い本だった。

人生を成功させるには、自己実現を目指しても成功できないという。なぜなら、人は全知全能の存在ではないから、最初から目標設定を誤ってしまうからとのこと。そして、たとえ成功できたとしても、それは長続きせず、また当初予想していた充足感も得られず、失望に終わることが多いという。なかなか説得力がある。

人生を成功させるためには、自己実現ではなく、「神」実現を目指すべきだという。神は、全知全能の存在であり、私たち一人ひとりをそれぞれ目的を持って創造された。だから、神が自分に通して達成しようとしている目的を、神に尋ね求めながら、神の目的を実現することが、自分に最高の「成功」を与えるという。

また、人生最大の罠は、傲慢になることだという。どんなに大きな成功を収めた人も、傲慢になった瞬間に転落するという。世の成功者の盛衰を考えても、たいへん説得力がある。

 

[`evernote` not found]

わかりやすく〈伝える〉技術  池上彰

わかりやすく〈伝える〉技術 (講談社現代新書)
池上 彰
講談社
売り上げランキング: 586


プレゼンがうまく行かなかった。聴いている人たちに、誤解を与えるような言い方をしてしまい、結果的に失敗してしまった。

最初は、誤解した相手を責める気持ちがあったが、徐々に自分の説明の仕方が下手だったことに気づいた。自分の表現能力に根本的な問題があるように思い始め、これは何とかせねばと思い、いろいろ本を探して手に取ったのがコレ。

前回もこの池上さんの本を取り上げたが、分かりやすさで定評のあるこの人が、どうやって分かりやすく物事を人に伝えるかということを、とても分かりやすく伝えている。

同じことを話すにしても、その話し方によって、伝わり方がこうも改善されるのかということで、目からウロコ。何度か読み直して、自分の身にしっかり定着させたいと思わされた。話し方の本であり、プレゼンの本であり、人間関係の本でもあるように思った。

 

[`evernote` not found]

日銀を知れば経済がわかる 池上彰

日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)
池上 彰
平凡社
売り上げランキング: 4752


とにかく、この人の話は分かりやすい。むかしNHKの「週間子ども新聞」に出ていたころは、結構頻繁に見ていたし、いくつか本も買った。とにかく、抽象的な話を、手触り感のある分かり易い話に転換する技術は神業。

本書は、日銀の機能を説明することによって、経済のしくみを解説することを試みている。日銀というのは、抽象的な存在ではあるが、日銀の金融政策の実行方法、日銀総裁の職務内容なんかを具体的に説明することによって、日銀の役割が分かり、経済のしくみがちょっと分かる。

ここで、「ちょっと」分かると書いたのは、ちょっとしか分からないという意味ではなく、これだけ薄い新書で、ちょっと分かるほどのはすごいという意味。もし、経済をちゃんと理解したければ、やはり一定の厚さの経済学のテキストを数冊通読する手間を省くことはできない。

今後も、この人の本は、折に触れて読んでいきたい。難しいテーマの話をじっくり咀嚼するのに役立つ。また、難しい話を易しく言い換える上での勉強にもなる。

 

[`evernote` not found]