ボーン・アゲイン  チャールズ・コルソン

ボーン・アゲイン―ウォーターゲート後日物語 (1979年)
チャールズ・W.コルソン
いのちのことば社
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Born Again
Born Again

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Charles W. Colson
Chosen Books Pub Co
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本書は、もともと「ボーン・アゲイン ウォーターゲート後日物語」(いのちのことば社)という邦訳がありましたが、今は絶版になっているため、ネット上で中古のものが取引されている状態のようです。言うまでもなく、原書の方はいまでも広く流通しています。

ボーン・アゲイン(born again)とは、聖書に書かれた通りのイエス・キリストによる新生(生まれ変わりの)体験のことで、とくに形式的なキリスト信仰が蔓延している欧米社会では、よく使われる言葉です。欧米では、なんとなくイエス・キリストを信じている人が多いのですが、聖書に書かれている通りのキリストの罪の赦しを体験的に知った人は相対的に少なく、その意味でも、このことを体験的に知り、深くキリストを信じている人を、あえてボーン・アゲイン・クリスチャンと呼ぶことがあります。

ちなみに、この新生体験は神秘体験のようなものではなく、聖書に書かれているイエス・キリストの死と復活の本当の意味を、理性を通して真理であると把握する「神との邂逅」のような体験であると言ってもよいかもしれません。

さて、本書の著者であるチャールズ(チャック)・コルソン(Charles “Chuck” Colson)氏ですが、私は学生時代にウォーターゲート事件のレポートを書いていて、世の中にはこんなに悪い人間がいるのかと驚かされたのが、この人との初めての「出会い」でした。

ニクソン大統領の顧問として、米国の民主主義の根幹を揺るがせたウォーターゲート事件の裏工作の多くを考案・推進し、多くの関係者の政治生命を絶った人物として、当時は悪のシンボルのように扱われていた人であり、私もリサーチを進めるにつれ、この人の悪徳ぶりに気分が悪くなるほどでした。

しかし、それから時が経ち、この人が劇的な体験を通して救われ、ボーンアゲイン・クリスチャンとなり、牧師となったことを聞き、二度驚いて、数年前に本書を読んでみました。

とくに印象的なのは第8章に出てくる友人との語らいの場面です。ここでは、コルソン氏が、自分の本当の姿に目を見開かれ、愕然とし、号泣する場面が出てきます。ここは、読む側も、自分も決して善人ではないということを悟らされ、涙なしには読めない箇所でもあります。また、人間の本質に関わる深い内容も扱われていて、一度読むと忘れられない箇所でもあります。

いまコルソン氏は、牧師として政治に関してコメントすることもあり、私は個人的にその多くに賛同できませんが、本書の8章に関しては、ここを読むだけでも本代を払う価値があると感じています。今でも、ときどきここだけは読み返すことがあります。

 

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