日本と国連の50年―オーラルヒストリー
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明石 康 野村 彰男 大芝 亮 秋山 信将 高須 幸雄
ミネルヴァ書房
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わりと地味な本だが、中身を読んで驚いた。90年代からつい最近までの国連外交の一線でリーダーシップを取ってこられた方たちのナマの声が詰まっている。明石康さん、緒方貞子さん、高須幸雄さん、小和田恒さんなど、それぞれ国連の中から(国連事務局の立場から)、国連の外から(日本政府の立場から)、近年の国連外交を仕切ってこられた方々が、貴重な本音を語っておられる。
普通の会社でも、立場や意見の違う個人、組織の考えを統合し、具体的な事業にとりまとめていくのは大変なことだ。国連では、192カ国の言語や価値観、利害が全く異なる国々の政府が、それぞれの国民の生命と財産を賭けて、紛争解決や貧困の根絶のために交渉に臨んでいる。
当然、その一線に立って政策を練り上げていこうとすれば、凄まじい「サンドバッグ」状態になる。本書は、そういう立場に身を置かれた上述のような方々が、率直な本音を語っておられる。
本書は、国連外交の中枢におられ、それに長く直接関与してきた方たちが、自らの体験を語っておられる。そういう意味で、外から国連外交を語った類書とは本質的にクオリティーが違う。一般に関心のある人だけでなく、論文とかを書いている人にとっても、大変貴重な資料になるのではないかと思います。