月別アーカイブ: 2009年11月

日本と国連の50年―オーラルヒストリー  明石康ほか編著

日本と国連の50年―オーラルヒストリー
明石 康 野村 彰男 大芝 亮 秋山 信将 高須 幸雄
ミネルヴァ書房
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わりと地味な本だが、中身を読んで驚いた。90年代からつい最近までの国連外交の一線でリーダーシップを取ってこられた方たちのナマの声が詰まっている。明石康さん、緒方貞子さん、高須幸雄さん、小和田恒さんなど、それぞれ国連の中から(国連事務局の立場から)、国連の外から(日本政府の立場から)、近年の国連外交を仕切ってこられた方々が、貴重な本音を語っておられる。

普通の会社でも、立場や意見の違う個人、組織の考えを統合し、具体的な事業にとりまとめていくのは大変なことだ。国連では、192カ国の言語や価値観、利害が全く異なる国々の政府が、それぞれの国民の生命と財産を賭けて、紛争解決や貧困の根絶のために交渉に臨んでいる。

当然、その一線に立って政策を練り上げていこうとすれば、凄まじい「サンドバッグ」状態になる。本書は、そういう立場に身を置かれた上述のような方々が、率直な本音を語っておられる。

本書は、国連外交の中枢におられ、それに長く直接関与してきた方たちが、自らの体験を語っておられる。そういう意味で、外から国連外交を語った類書とは本質的にクオリティーが違う。一般に関心のある人だけでなく、論文とかを書いている人にとっても、大変貴重な資料になるのではないかと思います。

 

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マサチューセッツ通り2520番地  阿川尚之

マサチューセッツ通り2520番地 (講談社BIZ)
阿川 尚之
講談社
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題名は在米日本大使館の現住所、著者は作家の阿川弘之の息子、タレントの阿川佐和子のお兄さんである。 ― この阿川尚之氏、もともとは法律家(米国の弁護士)なのだが、慶応義塾大学の教授をされていたときに、乞われて在米日本大使館の公使となり、同職を約3年間務められた。本書は、その時の体験をまとめたエッセイである。

読後感がすがすがしい。正直言って、こういう優秀な人のエッセイというのは、どこかにそれとなく自慢が刷り込まれていることが多いのだが、本書にはそれが全くない。

著者は家柄も上記の通りであり、経歴もまばゆい。また公使になった経緯も、外務省の中のトップエリートともいえる幹部からのヘッドハントである。自ら望んで公使になったのではない。これだけで、この人がいかに優秀、有能か分かるのだが、本書には自慢の類が一切ない。

また、外務省、大使館などは、いかにも魑魅魍魎の世界であり、仕事をしていればムカツクことが山ほどあると思うし、民間から見れば非効率な慣行なども目に付くと思うのだが、人の悪口が書かれていない。もちろん健全な批判は見られるが、人の悪口や不健全な批判が一切ない。

そういうことで、読後感は極めて爽やか、また読んでいるときも楽しかった。大使館には、どういう人がいて、どういう仕事をしているのか、相手国とどのように関わり合っているのか、そういうことが具体的に易しく書かれており、とても読みやすかった。

 

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村上式シンプル仕事術―厳しい時代を生き抜く14の原理原則  村上憲郎

村上式シンプル仕事術―厳しい時代を生き抜く14の原理原則
村上 憲郎
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 52228


以前、「村上式シンプル英語勉強法」の書評を書いた。これはその第2弾。

特に印象に残ったのは、簿記会計の知識と、経済学の概念をマスターしておくことの重要性を強調している点。これは、どんな仕事をするにしても、知っていて損はない、また知らないと長期的に大きな損をするポイントとして強調されている。

会社勤めの場合、簿記会計の知識は、自分の社内の立ち位置を教えてくれる(自分が会社で本当はいくら稼いでいるか等)。また、経済学の概念は、本当の意味での利益と損失を教えてもらえる(一見損だが本当は得、もしくはその逆といったことが分かる機会費用なんかの概念)。経済学のテキストとしてマンキューを推しているが、自分もマンキューで経済学を学んだので、なんか親近感が湧いた。

グーグルのような会社のトップマネジメントまで行った人の話は、理論が体験に裏付けられていて説得力がある。会社のため、社会のため、そして自分のために、どのように仕事を進め、またそのためにはどのような勉強をすればよいか、多くのヒントをいただけます。

 

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