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日本人のための第一次世界大戦史 世界はなぜ戦争に突入したのか – 2017/10/17 板谷 敏彦 (著)

日本人のための第一次世界大戦史 世界はなぜ戦争に突入したのか

日本人のための第一次世界大戦史 世界はなぜ戦争に突入したのかposted with amazlet at 20.02.29板谷 敏彦
毎日新聞出版 (2017-10-17)
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<要旨> 
産業革命 X 帝国主義 = 第一次世界大戦
産業革命が武器とテクノロジーの発展を促し、帝国主義が列強の対立を煽るとともに、民族主義(国民国家意識)に火をつけて、民族戦争を勃発させ、大戦争に発展して、収拾がつかなくなった。ボヤが大火事になった感あり。

<構成とポイント>

  1. 戦争技術の発達
  2. 国民国家意識の醸成(バルカンにおける汎ゲルマンと汎スラブの衝突)
  3. 金融と兵器産業のグローバリゼーション
  4. 第一次世界大戦
  5. 日本と国際社会
  6. 戦後体制

<感想>
・週間のビジネス誌の連載をまとめたせいか、今ひとつまとまり、本としての統合性に欠ける。
・ですます調とである調が混在しているのも、内容に集中できなくなるので、読みにくい。
・内容は非常に詳細で、レベルも高いのだが、統合性に欠けるところが残念。
・第一次世界大戦と第二次世界大戦が、実は「一つの戦争」だったという視点はない。
・しかし、「産業革命 X 帝国主義 = 第一次世界大戦」という点は、明瞭に描いている

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わかる・身につく歴史学の学び方 (大学生の学びをつくる) – 2016/11/1 大学の歴史教育を考える会

<要旨> 歴史学とは、どういう学問か、プロはどのように研究しているのかという疑問に答える入門書。主な対象は高校生。でも社会人が読んでも面白い。

<構成とポイント>
第一部:歴史学へのいざない
・高校の歴史と、大学の歴史学の違い: 「事実」を理解するか、「事実(先行研究)」とされているものを、批判的に、問題意識を持って学ぶかの違い。でも高校の知識がベースにあり、高校の歴史と無関係ではない。ガンディーの評価などを具体例に挙げ、賛否両論がある点を紹介。
・過去から現在を見る視点:フランス人権宣言と、現代の社会経済のつながり
・研究アプローチ:概論、資料読解、卒論まで
 ※論文の注記には、引用注、説明注の2種類ある。→要再調査
・歴史学という学問:史実認識(観察)→解釈(考察)→叙述
・歴史学における「正しさ」:E.H.カー「歴史は選択である」—「そのつど、暫定的な答えを出していくことが科学的態度」 

第二部:歴史学の学び方のツボ
・概説書を読む:中公文庫旧版の紹介
・研究所を読む
・論文を読む:史学雑誌、歴史学研究など
・ノートのとり方

第三部:歴史学を身につける、研究への橋渡し
・概念を厳密に捉える姿勢 例:市民(シトワイヤンとブルジョワ)、学問上の概念語と、史料上の用語の識別
・時代区分:古代、中世、近世、近代、現代  参照:経済で読み解く世界史(宇山)

<感想>
学部レベルでも、ここまでやるのかという驚き。史学部の4年生にはとてもかなわないが、少しずつ学びを積み上げていきたい。研究方法が確立しているので、我流で学ぶと無駄が多そうである。プロの学び方を知るために、もっと類書を読む必要がある。

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