月別アーカイブ: 2012年9月

王様マインドと奴隷マインド   松島修

王様マインドと奴隷マインド
松島 修
サンマーク出版
売り上げランキング: 4005


なかなか巧いタイトルである。人は誰しも王様になりたいし、奴隷にはなりたくない。しかし、本書を読み進むうちに、実は自分が「奴隷」だったということに気付かされる。そして、「王様」という理想も、自分が考えていたものとは、かなり違っていたことに気付かされる。

たとえば、自分が「王様のような偉大で立派な人間になりたい」、「人から高い評価を得たい」、「世間から注目を浴びたい」という、他人からの評価、自分が思い描く(スケールの小さい)理想に支配されている考え方は、「奴隷」の思考回路だと、本書は一刀両断している。

王様とは、現在の実際の自分を受け入れ、同時に他人の幸福のために自分を捨てることができ、さらに自分に与えられた使命に邁進する心を持っている人だと、本書は説く。そして、この考え方は聖書から導かれていて、「王様」とは、次の3点を確信していることが特徴だという。

1.自分は神様から愛されている。
2.自分は神様によって、神様に似せられて創造された最高傑作の存在である。
3.自分は神様から、独自の使命を信託されている。

そして、この3点は、自分で努力して獲得するものではなく、すでに確定している事実なので、その事実を自分の中で確信できるかどうかが鍵になるというのが本書の要点だ。

はっきり言えば、聖書を自分のものとして受け入れ、信じている人は、このことを知っている。しかし、多くのクリスチャンも常に自戒、警戒していることだが、危険なワナは、この思いから高慢に移行してしまうことだ。

本書も、はっきり言っていることだが、「王様」の特質は、自分よりも国民(他人)のことを優先する思考回路にある、さらに突っ込んでいえば、本書はおそらく意図的に次回のテーマに回したポイントだと思うが、聖書の中心はイエス・キリストである。イエスは、全ての人の「罪(sin)」のために、あえて十字架にかかって死んだ。神の子、王だったにも関わらず、自分の全てを捨てたということである。

この「自分が神から愛されているという充足感」と、「他人のために自分をいつでも捨てられるという究極の謙遜」が同居しているところに、本書のいう「王様マインド」が存在するのだと思う。非常に読み応えのある奥の深い本である。

 

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読書の技法    佐藤優

 

読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門
佐藤 優
東洋経済新報社
売り上げランキング: 86


佐藤優という人は、独特の頭脳構造を持った人だ。単に頭が良いというだけでない。自分の頭の使い方をよく知っている人だ。本書も、どんな本を読むべきかという論点だけでなく、月に300-500冊を読み込むという習慣をベースに、どんな本をどんな方法で読むと知識が定着しやすいかという論点にも触れており、速読や熟読の具体的な方法にも詳しく言及している。

そして、この「どんな本を、どう読むべきか」という点を重視する姿勢の背景には、読書というインプットの重要性と同じくらい、読書の結果としての情報のアウトプットを重視する筆者の価値観がある。単に本を味わうということではなく、本を読んだ結果得た情報をどう活かすかという点を重視していると言い換えても良い。

本書で特に強く印象に残った点を書き出すと、まず第一に熟読する価値のある本を選ぶためには、ピンと来る本をどんどん「超速読」(一冊を5分で読了)する必要があるという点。そして、超速読をする上では、重要箇所をチェックするために、どうしてもマーカーを引いたり、メモを書き込む必要があるから、こうした無数の本も「買わざるをえない」という点。

確かに役立つかどうか判然としない本を買う出費は痛いが、一晩飲む金額でビジネス書を三冊買えると想定すると、その潜在的価値を考慮すれば、それほど高額の出費と言えないのかもしれない。

また、語学や数学の習得には、「テクネー」という、練習問題を繰り返し解いて、知識を体に覚えさせるような手法(ギリシア語源)が不可欠だという点も、極めて強く印象に残った。

これは学生時代もそうだが、社会人になってからの学び直しにも、テクネーの手法以外に語学や数学をマスターする方法はないと断言されていて、とても強く印象に残った。自分は特に、高校数学に知識の「欠損」があり、財政や投資の話題でついていけないと感じることが時折あったので、数学の学び直しのメドが立った気がした。

佐藤氏は、言わずもがな外務省出身。中央官庁の人々の情報咀嚼能力には、かねてより舌を巻くものがあったが、そのノウハウをここまで具体的に開示してもらえたのは有難い。本書は、単なる読書のテクニックに関する本ではない。

人生は短いから、どの本を読むべきか、そして読むべき本をどういう方法で読んだら、最も効率的・効果的に知識を吸着させることができるか、という人生における時間の有効活用という観点から読書法を論じている。単なるノウハウ本の領域を超えた本である。

 

 

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金持ち父さん 貧乏父さん  ロバート・キヨサキ

 

金持ち父さん貧乏父さん
ロバート キヨサキ シャロン・レクター(公認会計士)
筑摩書房
売り上げランキング: 81

 

アマゾンでこの本の書評を見ると、驚くほど評価が賛否両論に二分している。高く評価している人々は、筆者のキヨサキ氏が主張しているファイナンシャル・インテリジェンス(お金を稼ぎ、本当の資産を作るための知識)の重要性に共鳴しているようだが、評価していない人々は、その拝金主義的な価値観を蔑み、危険視する論調が多い。両方の見方ともに、妥当性があるように感じた。

思うに、この本には正しい読み方というものがあるようだ。この本の冒頭には、狂言回し的に登場する主人公の「少年」が、二人の父親のうちの「金持ち父さん」に、不条理なタダ働きを強いられ、金銭的に搾取される過程を通して、お金を稼ぐことの本当の意味を学んでいく場面が出てくる。

金持ち父さんは、教師が学校で教えるように、少年にお金を稼ぐことの意味を優しく教えてあげても良かったのだが、意図的に大人の上司が部下に仕事を叩きこむような少し不条理な方法を選択した。その方が教えが体に叩き込まれることを知って、相手が子どもでも、あえてそうしたのだった。

実は、この本の読み方も同様で、学校で先生に教えてもらうように「子どもの読み方」をしては、本質が伝わらないような仕掛けがしてあるようだ。

拝金主義的な記述や、眉唾もののエピソードも満載なのだが、そういうところを上手にスルーして、自分にとって大事な部分だけ要領よく抜き取る「大人の読み方」が求められているようだ。そういう意味で、本書は絵本のような装丁をしているが、大人のための本という感じがする。

本書で最も印象的な部分は、筆者が展開する資産と負債に関する独自の持論だ。筆者は、「資産は自分のポケットにお金を入れてくれるもの、負債はポケットからお金を持っていくもの」と定義し、住宅ローンでお金が出ていく持ち家は負債で、他人に貸しているマンションの部屋は資産に当たると説く。

この資産と負債の論点は、他にもいろいろな事例を出して様々な説明が展開されており、ここは筆者の最も伝えたいポイントの一つなのではないかと思った。

 

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