<要旨> 歴史学とは、どういう学問か、プロはどのように研究しているのかという疑問に答える入門書。主な対象は高校生。でも社会人が読んでも面白い。
<構成とポイント>
第一部:歴史学へのいざない
・高校の歴史と、大学の歴史学の違い: 「事実」を理解するか、「事実(先行研究)」とされているものを、批判的に、問題意識を持って学ぶかの違い。でも高校の知識がベースにあり、高校の歴史と無関係ではない。ガンディーの評価などを具体例に挙げ、賛否両論がある点を紹介。
・過去から現在を見る視点:フランス人権宣言と、現代の社会経済のつながり
・研究アプローチ:概論、資料読解、卒論まで
※論文の注記には、引用注、説明注の2種類ある。→要再調査
・歴史学という学問:史実認識(観察)→解釈(考察)→叙述
・歴史学における「正しさ」:E.H.カー「歴史は選択である」—「そのつど、暫定的な答えを出していくことが科学的態度」
第二部:歴史学の学び方のツボ
・概説書を読む:中公文庫旧版の紹介
・研究所を読む
・論文を読む:史学雑誌、歴史学研究など
・ノートのとり方
第三部:歴史学を身につける、研究への橋渡し
・概念を厳密に捉える姿勢 例:市民(シトワイヤンとブルジョワ)、学問上の概念語と、史料上の用語の識別
・時代区分:古代、中世、近世、近代、現代 参照:経済で読み解く世界史(宇山)
<感想>
学部レベルでも、ここまでやるのかという驚き。史学部の4年生にはとてもかなわないが、少しずつ学びを積み上げていきたい。研究方法が確立しているので、我流で学ぶと無駄が多そうである。プロの学び方を知るために、もっと類書を読む必要がある。