自己啓発・心理」カテゴリーアーカイブ

親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと  太田 差惠子

 

親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと
太田 差惠子
翔泳社
売り上げランキング: 2,665

 
要旨
親の介護に関する教科書。どのような問題に、どのような対応策、制度があるかを、一通りすべて網羅している。お金の問題、親や兄弟との人間関係、どの段階でどのような問題が出てくるか具体的に分かりやすく説明。

感想
先日親が倒れ、その後回復したが、介護の問題が身近に迫った。兄弟もいるが、兄弟ばかりに頼るわけにもいかない。いろいろな問題が現実感を持って迫ってきて、不安になったので、本書を手に取った。

とにかく分かりやすい。ただ、分かりやすいだけでなく、介護に関する論点を、広く深くしっかり押さえている。身近に介護問題で親子関係や兄弟関係が悪化してしまった事例も見てきたので、人間関係とお金の問題も心配だったが、本書はそのへんもカバーしている。介護する側だけでなく、親の気持ちも尊重する必要があること、認知症になってしまった場合、親にどのように対応すればよいか、そんなことにも触れている。

これからいろいろなことがあると思うが、本書を読んで少し気持ちが楽になった。

 

 

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知的生産の技術  梅棹 忠夫

 

知的生産の技術 (岩波新書)
梅棹 忠夫
岩波書店
売り上げランキング: 3,444

 

要旨
いろいろな知恵や情報に触れ、それを糧に新たな知的生産物をどのように作るかという、その方法・技術について述べている。情報やそれに関する所感をカードに書き込み、それを自由に組み合わせることで、新たな知的生産物を作る方法論が展開されている。レオナルド・ダ・ビンチが、身の回りに起きることを、いちいち全て日記に書く習慣があり、それがダ・ビンチの知的生産活動の基礎になっていたエピソードも紹介。

感想
IT化などが想定されていなかった時代に書かれた古典。カード式の方法は、今ならEvernoteを使って、かなり同じような形で再現できるのではないかと思った。ダ・ビンチのメモの習慣も大変参考になった。人間は、おもしろい思いつきをしても、それを驚くほど簡単に忘れてしまう。何を忘れたかも忘れてしまうから、その損失は計り知れない。少し経ったらもう一度読み返したい。

 

 

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王様マインドと奴隷マインド   松島修

王様マインドと奴隷マインド
松島 修
サンマーク出版
売り上げランキング: 4005


なかなか巧いタイトルである。人は誰しも王様になりたいし、奴隷にはなりたくない。しかし、本書を読み進むうちに、実は自分が「奴隷」だったということに気付かされる。そして、「王様」という理想も、自分が考えていたものとは、かなり違っていたことに気付かされる。

たとえば、自分が「王様のような偉大で立派な人間になりたい」、「人から高い評価を得たい」、「世間から注目を浴びたい」という、他人からの評価、自分が思い描く(スケールの小さい)理想に支配されている考え方は、「奴隷」の思考回路だと、本書は一刀両断している。

王様とは、現在の実際の自分を受け入れ、同時に他人の幸福のために自分を捨てることができ、さらに自分に与えられた使命に邁進する心を持っている人だと、本書は説く。そして、この考え方は聖書から導かれていて、「王様」とは、次の3点を確信していることが特徴だという。

1.自分は神様から愛されている。
2.自分は神様によって、神様に似せられて創造された最高傑作の存在である。
3.自分は神様から、独自の使命を信託されている。

そして、この3点は、自分で努力して獲得するものではなく、すでに確定している事実なので、その事実を自分の中で確信できるかどうかが鍵になるというのが本書の要点だ。

はっきり言えば、聖書を自分のものとして受け入れ、信じている人は、このことを知っている。しかし、多くのクリスチャンも常に自戒、警戒していることだが、危険なワナは、この思いから高慢に移行してしまうことだ。

本書も、はっきり言っていることだが、「王様」の特質は、自分よりも国民(他人)のことを優先する思考回路にある、さらに突っ込んでいえば、本書はおそらく意図的に次回のテーマに回したポイントだと思うが、聖書の中心はイエス・キリストである。イエスは、全ての人の「罪(sin)」のために、あえて十字架にかかって死んだ。神の子、王だったにも関わらず、自分の全てを捨てたということである。

この「自分が神から愛されているという充足感」と、「他人のために自分をいつでも捨てられるという究極の謙遜」が同居しているところに、本書のいう「王様マインド」が存在するのだと思う。非常に読み応えのある奥の深い本である。

 

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聖書に隠された性格分析 ケルビム・パターン  松島修

聖書に隠された性格分析 ケルビム・パターン
松島 修
マガジンハウス
売り上げランキング: 6717


聖書には、ケルビムという戦闘系の天使が登場する。そして、この天使は、獅子、雄牛、人、鷲という4つの資質的な側面を持っており、この4つの側面はそのまま、人の性格の類型パターンと一致しているというのが、本書の出だし部分。ここで、読む人は自分がどのパターンに当てはまるのか知りたくなり、ぐっと引き込まれる。

そして、人は誰でもこれらの類型の1つ、もしくは2つの性質を色濃く持っており、その特徴を自覚し、長所を伸ばし、短所をカバーすることによって、より幸せに生きることができるというのが、本書の核心部分。

本書が面白いのは、聖書の一部を取り出して、自分なりにアレンジしているのではなく、聖書全体の趣旨を押さえた上で、人間の性格に関する論点を抽出して論じているところ。冒頭にも、これは占いのたぐいではないということが、はっきり書かれている。つまり、本書は聖書を利用した性格分析の本ではない。聖書が、人間の性格について何を語っているか解説した本である。

人間は、自分の長所と短所を正確に把握し、長所を伸ばすだけでなく、短所にも対処していかないと、人生が生きづらくなっていく。それは、人間関係の問題を通して、私たちの日常生活に大きな影響を与え、私たちの心理状態に大きな影響を与え、私たちの人生さえも大きく変えていく。では、どうすればよいか。本書は、そんな疑問に応えてくれる。希望を与えてくれる良い本です。
 

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人間関係のレッスン  向後善之

人間関係のレッスン (講談社現代新書)
向後 善之
講談社
売り上げランキング: 22851


仕事をしている人は、仕事自体の悩みよりも、人間関係の悩みの方が比重が大きいという場合が少なくないのではないかと思う。子どもでさえ、勉強自体よりも、人間関係の悩みに悩んでいるケースの方が多いのではないかと思う。ことほどさように、人間関係に関する期待や悩みは、私たちの日常生活の中で占める割合が多い。

本書は、主に職場における人間関係の問題を扱っている。職場の人間関係の悩みは、そこに抜き差しならない利害関係が絡んでいるだけに、ちょっとしたきっかけで深刻化しやすい。また、同じ問題でも、あまり気にしない人がいる一方で、すごく悩む人もいて、人によって感じ方が全然違う。

そんなこともあり、本書は自分の性格タイプ別に問題解決のアプローチを変えている。多くの類書は、こういう問題はこういう解決策というアプローチを取るが、本書は、こういう人が、こういう問題で悩んでいる場合、こういう解決策があるというふうに、タイプ別にアドバイスを変えている。こういうところが、非常に現実的で好感が持てる。

手軽な新書ではあるが、巻末に参考文献を載せている。悩む読者の側に立つ好著です。

 

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