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FX取引入門  平田啓, 廣重勝彦

FX取引入門(日経文庫)
FX取引入門(日経文庫)

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平田 啓 廣重 勝彦
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 131422


新書版のFX入門書。派手な装丁の多いFX関連書籍が多い中で、極めて地味な装丁。中身も、FXはそうそう簡単に儲からないという点を力説していて、極めて堅実な内容。

しかし、FXの基本事項は全て網羅しており、FXに興味のある人は、まず最初にこれを読めば、変な情報商材や、変な他のFX関連書籍に引っかからず、手堅くFXの勉強を進め、ムダなく実践に移ることができるのではないだろうか。

本書の具体的内容としては、FXが普及した背景、外為市場の概要、取引の実際、ファンダメンタルとテクニカルの基本、FXの落とし穴、資金管理などを、幅広く、適度に深く、分かりやすく、良心的に解説している。

もちろん、この本だけでFXを理解できるわけではない。しかし、これからFXを初めてみようかと考えている人にとっては、一番最初に手に取るべき入門書かもしれない。

 

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わかりやすく〈伝える〉技術  池上彰

わかりやすく〈伝える〉技術 (講談社現代新書)
池上 彰
講談社
売り上げランキング: 586


プレゼンがうまく行かなかった。聴いている人たちに、誤解を与えるような言い方をしてしまい、結果的に失敗してしまった。

最初は、誤解した相手を責める気持ちがあったが、徐々に自分の説明の仕方が下手だったことに気づいた。自分の表現能力に根本的な問題があるように思い始め、これは何とかせねばと思い、いろいろ本を探して手に取ったのがコレ。

前回もこの池上さんの本を取り上げたが、分かりやすさで定評のあるこの人が、どうやって分かりやすく物事を人に伝えるかということを、とても分かりやすく伝えている。

同じことを話すにしても、その話し方によって、伝わり方がこうも改善されるのかということで、目からウロコ。何度か読み直して、自分の身にしっかり定着させたいと思わされた。話し方の本であり、プレゼンの本であり、人間関係の本でもあるように思った。

 

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日銀を知れば経済がわかる 池上彰

日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)
池上 彰
平凡社
売り上げランキング: 4752


とにかく、この人の話は分かりやすい。むかしNHKの「週間子ども新聞」に出ていたころは、結構頻繁に見ていたし、いくつか本も買った。とにかく、抽象的な話を、手触り感のある分かり易い話に転換する技術は神業。

本書は、日銀の機能を説明することによって、経済のしくみを解説することを試みている。日銀というのは、抽象的な存在ではあるが、日銀の金融政策の実行方法、日銀総裁の職務内容なんかを具体的に説明することによって、日銀の役割が分かり、経済のしくみがちょっと分かる。

ここで、「ちょっと」分かると書いたのは、ちょっとしか分からないという意味ではなく、これだけ薄い新書で、ちょっと分かるほどのはすごいという意味。もし、経済をちゃんと理解したければ、やはり一定の厚さの経済学のテキストを数冊通読する手間を省くことはできない。

今後も、この人の本は、折に触れて読んでいきたい。難しいテーマの話をじっくり咀嚼するのに役立つ。また、難しい話を易しく言い換える上での勉強にもなる。

 

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みんなの意見は案外正しい  ジェームズ・スロウィッキー

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)
ジェームズ・スロウィッキー
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 40958


題名に惹かれて衝動買い。期待通りの内容で満足。本書は、専門知識や豊富な経験を持った一握りのエリートの意見よりも、大衆や大きな集団が導き出す意見の方が案外正しいことが多いということを、さまざまな具体例、アカデミックな議論を引いて論じている。

大勢の人たちが、ひとつの意見を導き出すとき、そこには市場原理が働くことが多い。どんな有力な人の意見でも、そこに妥当な根拠がなければ退けられる。

逆に、何の力もない人の意見でも、意見自体に妥当性があれば注目される。そういうフルイにかけられるプロセスの中で、意見が最も妥当性のあるものに収斂されていく。だから、「みんなの意見は案外正しい」ということだ。

本書も指摘していることだが、、「みんなの意見は案外正しい」ためには、いくつか条件がある。それは、そこにキチンと市場原理が働くということだ。すべての人の意見が公平に検証されるということ、最終的に一つの意見に収斂される仕組みがあるということなど、具体的要件が挙げられている。

あと、本書では突っ込んで論じられていなかったように思うが、「みんな」というのは、最低でも20人くらいの人数が必要だということも要件として求められるだろう。4-5人では、有力者の意見になびく可能性があるから・・・。

本書の中で特に印象に残ったのは、スペースシャトルのコロンビア号のケーススタディだ。組織の上下関係の中で、事故が起きるという意見があっさり無視された過程はあまり悲しい。やはり「みんなの意見」が形成される仕組みがないと、組織がおかしい方向へ行くという典型例と言えるだろう、

以前に、チャレンジャー号のケーススタディに触れたときもショックを受けたが、やはり「みんなの意見」を収斂する仕組みのない組織は失敗を繰り返す。今のNASAがどうなっているか、具体的に分からないが反面教師の一つといえるだろう。

 

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村上式シンプル仕事術―厳しい時代を生き抜く14の原理原則  村上憲郎

村上式シンプル仕事術―厳しい時代を生き抜く14の原理原則
村上 憲郎
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 52228


以前、「村上式シンプル英語勉強法」の書評を書いた。これはその第2弾。

特に印象に残ったのは、簿記会計の知識と、経済学の概念をマスターしておくことの重要性を強調している点。これは、どんな仕事をするにしても、知っていて損はない、また知らないと長期的に大きな損をするポイントとして強調されている。

会社勤めの場合、簿記会計の知識は、自分の社内の立ち位置を教えてくれる(自分が会社で本当はいくら稼いでいるか等)。また、経済学の概念は、本当の意味での利益と損失を教えてもらえる(一見損だが本当は得、もしくはその逆といったことが分かる機会費用なんかの概念)。経済学のテキストとしてマンキューを推しているが、自分もマンキューで経済学を学んだので、なんか親近感が湧いた。

グーグルのような会社のトップマネジメントまで行った人の話は、理論が体験に裏付けられていて説得力がある。会社のため、社会のため、そして自分のために、どのように仕事を進め、またそのためにはどのような勉強をすればよいか、多くのヒントをいただけます。

 

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