IT・科学技術」カテゴリーアーカイブ

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する  佐々木俊尚

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する  文春新書 (501)
佐々木 俊尚
文藝春秋
売り上げランキング: 42585


グーグルや、今のネット社会がどういうものかを、平易に語っている。アマゾンで上位に付けているので読んでみたが、なにぶん約4年前の本である。この本自体に何の罪もないし、出版されて4年後に読んだ私も悪い。しかし、インターネット関連の本の賞味期限は、マックスで1年だと改めて思った。

今や、「インターネットって、すごいですね」という言い方は、すでに死語のような言い方である。「Web 2.0って、すごいですね」という言い方も、ほとんど化石である。そういうことは、もう当たり前であって、世の中はそれを前提に、その前を進んでいる。

今日の夕刊に、グーグルが最高益を出したというニュースが載っていた。もしかしたら、今がグーグルのピークなのかもしれない。そのうち、「グーグルって、すごいですね」などと言っていたら、笑われる時代が来るかもしれない。

そういう意味で、本書で筆者が懸念しているような「グーグルが全てを支配する」ような社会は、この超音速で驀進するオープンなネット社会では実際には起きないだろう。いまの状態が数年前に想像できなかったように、数年後には今は想像できないネット社会が出現し、想像できない期待と懸念が交錯する世の中になっているだろう。

 

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フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略  クリス・アンダーソン

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
クリス・アンダーソン
日本放送出版協会
売り上げランキング: 495


デジタル化された情報、-文書、本、音楽、テレビ番組、映画など-は、生産(複製)における限界費用がタダに近いので、市場競争にさらされる中で販売価格がどんどん下がり、いずれ無料になる運命にある。それは万有引力の法則のようなもので、逆らっても傷つくだけだ、だからこの傾向を大いに利用すべきというのが本書の論旨。

まさにその通り。異論はない。しかし、このフリーの荒波をうまく乗りこなして儲けることができるのは、フリーの本質、ITの本質を正確に理解している一部の賢い企業、人々だけという気がする。ほかは、フリーの濁流にのまれて消え去るのみなのだろうか。そのくらいフリーの勢いは激しく、速い・・・。

本書の良心的なところは、フリーの驚異的な本質を解き明かすだけでなく、その対応策、つまりフリーを活かして儲ける術も具体的に数多く紹介している点だ。著者のクリス・アンダーソン氏自身は、紙媒体とデジタル媒体の両媒体の専門誌の編集者。評論家のような冷めた立場ではなく、フリーの荒波と毎日戦っている立場から発信しているだけに、リアリティが宿る。

 

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検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書  渡辺隆広

検索にガンガンヒットさせるSEOの教科書
渡辺 隆広
翔泳社
売り上げランキング: 68871


もう一冊、SEOの本としてコレを読んだ。特徴は、SEOと何かという深い根本的な問題提起から、スパム的SEOとそうでないものを解き明かし、スパムの手法を具体的に列挙して、そのリスクを具体的に説明してくれていること。

SEO業者の中には、一時的に強烈な効果を示すスパム行為を薦めるところは少なくないような気がする。しかし、彼らの言いなりになっていると、ペナルティを食って急降下、ということもあるだろう。本書は、そういう注意点をとてもわかりやすく解説してくれている。

難点をあえてひとつ挙げれば、昨年出版だということ。SEOの世界で一年の時間差というのは小さくない。それでも、本書を身銭をきって買った理由は、スパムに関する説明がどの類書よりも詳しく、どこに気をつければよいか分かり易く書いてくれているからだった。

SEOとは何か、根っこのところを分かり易く説明している。いろんな人がいろんなことをワーワー言っている魑魅魍魎のSEOの世界。こういう基礎を、冷静に分かりやすく説明している本というのは貴重な存在。初心者にとっても分かりやすく、良心的な好著です。

 

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SEO 検索上位サイトの法則  八百谷真

SEO 検索上位サイトの法則
八百谷 真
ソーテック社
売り上げランキング: 12916


仕事で立て続けにSEOの本を読んだ。何となく知っていると思っていたことが、あまり良く分かっていないことが分かって、有益だった。

本書は、解説に使う用語がスタンダードでクセがなく、すっと頭に入りやすい。多くの具体的な施策が挙げられていると同時に、それぞれの効果や有用度が星印の数で判定されており、素早く読める(星の数が少ない施策は飛ばし読みできる)。

また、本書は著者自身が上位1000URLの傾向を調査して、いろいろなデータを直接取っている点が特徴的だ。悪く言えばマクロ的視点にかけているともいえるが、ミクロ的なファクトをしっかり押さえているからウソがない。そういう意味で、出版時点で事実であることは間違いなく、参考になる。

それにしてもSEOの世界は日進月歩である。それだけに、常にcutting-edgeのトピックに触れて、どれが大事で、どれが風説に過ぎないか、自分の眼でしっかり把握しておくことが大切だ。

 

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